会社の大きさと、技術の面白さは別のもの──中小企業/スタートアップの知財に力を入れたい理由
当事務所が仕事の中心に置きたいと考えているのは、中小企業やスタートアップの知財です。
そこに力を入れたいと考えているのは、規模ではなく、技術そのもので向き合いたいからです。
「支える」ではなく、対等に向き合う
中小企業やスタートアップの知財というと、事務所が会社を「支える」「寄り添う」という語られ方をされがちですが、私は、そうは考えていません。
会社の規模と、技術の面白さや価値は、別のものだからです。
町工場が長年かけて詰めてきた材料の配合や処理条件にも、装置のどこか一箇所を変えただけの小さな機構にも、大企業の発明に引けを取らない強さがあります。
立ち上がったばかりのチームの一つのアイデアも同じです。
大手が先に押さえている領域で、規模の小さな会社の出願のほうが先行技術をうまく避けられている。
そういう場面を、実務のなかで何度か見てきました。
効いているのは、人数や予算の差ではありません。
その技術のどこが新しいのかを、出願する会社と弁理士がどれだけ分かっているかです。
だから当事務所は、指示どおりに書類を整えるだけの立場ではなく、技術を一緒に理解する側に立ちたいと考えています。
一緒に考える、ということ
一緒に理解する側に立つと言うからには、こちらも相手の話を分かろうとしなければなりません。
何を作っていて、どこに苦労し、なぜその発明に価値があるのか。
それを共有したうえで、権利の設計に落とし込む。
会社の規模に関わらず、この順序で進めることが、一緒に戦略を組み立てる土台になると考えています。
現場に近いからこそ、担当制が生きる
中小企業やスタートアップは、経営と技術と現場の距離が近いのが強みです。
だからこそ、同じ担当弁理士が最初から最後まで一貫して担当する体制(担当制)と相性がよいと感じています。
窓口が変わらず、技術の背景も事業の狙いも共有したまま進められるので、細かな判断のズレが起きにくくなります。
担当が代わるたびに一から説明し直す、という負担もありません。
この体制を選んだ理由は、別記事「なぜ「最初から最後まで、同じ担当者が」なのか──責任一貫体制に込めた理由」でお話ししています。
早い段階の一手が、後で効く
とくにスタートアップでは、初期に「何を出すか、何を出さないか」を決める一手が、数年後に大きく効いてきます。
公開のタイミング、最初のクレームの立て方、営業秘密との線引きなどの判断の中には、後から取り返しにくいものもあります。
特許で出すか、ノウハウとして持っておくかの線引きについては、別記事「特許で出すか、ノウハウで隠すか──オープン/クローズの判断軸」でお話ししています。
よく見かけるのは、展示会や学会で先に発表してしまってから相談に来られる場面です。
発表した本人の行為であれば救済の道は用意されていますが(この救済は、別記事「発表してしまった発明は、もう特許にできない?──新規性喪失の例外という救済」で取り上げています)、要件と期限がありますし、国によって扱いも違います。
発表より前に出願を済ませておけば、こうした要件や期限は問題になりません。
だからこそ、出願を考える前の段階から、気軽に相談できる関係に価値があると考えています。
会社の大きさと、技術の面白さは別のもの。
これが、当事務所が中小企業やスタートアップの知財に力を入れたい理由です。
小さな一件であっても、その会社の技術を次の段階へつなぐ。
そのお手伝いをしたいという姿勢は、これからも変えないつもりです。
技術の話を聞くところから始めます。
守るものを決める前の段階でも、知財コンサルティング/顧問として承っています。

