意匠登録がなくても守れる?──デジタル空間の模倣と不正競争防止法
製品やブランドの「かたち」をまねされたとき、頼りになるのは意匠権や商標権です。
ただ、登録していない場合でも、不正競争防止法(不競法)で対応できる場面があります。
近年はその守備範囲がデジタル空間にも広がりました。
不競法による「形態模倣」の禁止
不競法は、他人の商品の形態をそっくりまねた商品を提供する行為(いわゆるデッドコピー)を、不正競争として禁止しています(商品形態模倣行為)。
意匠登録という手続を経ていなくても、日本国内で最初に販売した日から3年間という限度で、差止めや損害賠償を求められる可能性があります。
登録不要で素早く使える点が特徴です。
令和5年改正で「デジタル空間」へ
令和5年(2023年)の改正で、こうした形態模倣の規律がデジタル空間にも及ぶよう整理されました。
具体的には、他人の商品形態を模倣した商品を「電気通信回線を通じて提供する」行為も不正競争の対象に加えられています(施行は令和6年4月1日)。
これにより、たとえばメタバース上で売買される模倣アイテムについても、差止請求権などを行使しやすくなったと説明されています。
あわせて、生産能力が限られる中小企業でも、生産能力を超える分を使用許諾料相当額として損害賠償に上乗せ請求できるよう、賠償額の算定方法も見直されています。
意匠権との「使い分け」
不競法と意匠権は、競合するというより補い合う関係です。
不競法は、登録不要で素早く使える一方、保護期間が短く、相手の「模倣」を立証する必要があります。
意匠権は、登録に手続と費用がかかる一方、新しいデザインを最長25年にわたり安定して独占でき、模倣でなく独自に似たものを作られた場合にも及び得ます。
短期的には不競法、中長期的には意匠権、という重ね方が一つの考え方です。
中小企業やスタートアップが今からできること
まずは、守りたいデザインを公開・販売する前に、意匠登録を検討することです。
その上で、いつ/どこで最初に販売したかを記録しておくと、いざ模倣品が現れたときの不競法上の主張に役立ちます。
オンラインや仮想空間での展開を見据える場合は、画像意匠の活用も視野に入れることも大切です。
当事務所でも、デザインを意匠権と不正競争防止法でどう重ねて守るか、画像意匠の活用も含めてご相談をお受けしています。
意匠のご相談を承っていますので、公開・販売の前にお気軽にお声がけください。
出典・参考
- 経済産業省「不正競争防止法 直近の改正(令和5年)」: https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/kaisei_recent.html
※ 本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。改正の施行時期・要件や保護の範囲、模倣の判断は事案により変わり得ますので、デザインを公開・販売される前や、個別のご判断にあたっては、最新の一次情報をご確認のうえ、専門家にご相談ください。


